『新建設業を考える』をテーマとして考え続けます。
2009年

4.1 国の行政評価

2001年(平成13年),行政機関が行う政策の評価に関する法律が制定された.政策に不断の見直しや改善,効率的で質の高い行政及び成果重視に行政を推進するためと国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底する.政策の過程において課題→政策立案→政策決定→政策実施→政策評価が行われる.従来のPlan(計画,立案)からDo(実施)に加え,必要性,効率性,有効性を総合的に評価(See)する.
また,政策評価に関する一連の情報によって評価に使用したデータや仮定,外部要因を明示し,わかりやすく示すことができる.評価方式には,事業評価方式,実績評価方式,総合評価方式がある.事業評価方式は,費用の推定に対して費用に見合った効果なのか評価する.実績評価方式は,達成すべき目標を設定しておきその目標の達成度合いによって評価する.総合評価方式は,効果の発現をさまざまな角度から掘り下げ分析する評価方式である.政策評価の観点は,①必要性,②効率性,③有効性,④公平性,⑤優先性の観点からの評価を行う.時間的な要素から見ると事前評価として得ようとする効果や事後的な評価方法を決定し,事後評価では,社会経済情勢の変化を考慮して,政策の見直しや改善の必要性,政策の効果を評価する.

4.2 行政評価の取り組み状況

地方自治体は,限られた財源の有効活用のために効率的な体制の整備・確立を図り,財政負担を軽減し,社会情勢の変化に対応した住民への行政サービスを行い,行政運営の透明性,住民説明責任,職員の意識改革などにより行政運営の自立性を図り,成果を重視した行政運営が求められている.
行政評価の導入状況は,市区において(平成18年1月1日現在)45%,町村において13%である.導入の目的では,行政の説明責任や透明性,行政の効率化,総合計画の進行管理や行政運営のツール,職員の意識改革,政策形成能力の向上などがあげられている.

4.3 地方自治体の事業評価事例

地方自治体の場合,国との役割分担の下で事業評価する必要がある.下記に岩手県の公共事業評価の事例を挙げる.図4-1 岩手県の公共事業評価の流れ図によると執行機関内での県民や事業内での事業評価の説明となっている.

事業評価

                図4-1岩手県の公共事業評価の流れ図

事業評価の時期

・事前評価
事前評価

・再評価
再評価

 自社が内部監査のための作業をシステム化したに過ぎない.行政の説明責任や透明性,行政の効率化,総合計画の進行管理や行政運営のツール,職員の意識改革,政策形成能力の向上のためであり,外部監査として住民が関与する役割のあるシステムが必要となる.図4-2の流れ図の中で,議決する議会の後方にも実は,住民が存在している.住民の代表である議員にも行政の一員としての評価が必要であり,各議案の議決に関しても評価する必要がある.

4.4 地方自治体の行政評価とアセットマネジメント

地方自治体の行政評価は,行政の説明責任や透明性,行政の効率化,総合計画の進行管理や行政運営のツール,職員の意識改革,政策形成能力の向上などが目的となっている.したがって地方の財政難の問題解決のために税金という資産を管理し,運用するアセットマネジメントの取り組みとは,ずいぶんとちがっていることが言える.

参考文献〔第4章〕

(4-1) 総務省 政策評価に関する基本方針の改定について
(4-2) 総務省 平成14年度 地方公共団体における行政評価についての研究会 
  (4-3) 総務省 地方公共団体における行政評価の取組状況
 (4-4)岩手県ホームページ 公共事業評価の概要(公共事業評価の流れ)